胃カメラ

胃カメラについて

内視鏡検査一般的に「胃カメラ」と呼ばれる検査は、正しくは食道胃十二指腸内視鏡検査(EGD)と言います。口または鼻から内視鏡を挿入し、胃だけではなく、下咽頭、食道、胃、十二指腸の病気の診断を行う事ができます。胃カメラというと過去に辛くて苦しい検査を受けた経験がある方もおられると思いますが、当院では最新の設備や技術を用いて苦痛なく内視鏡検査を受けていただけるよう心がけています。
身体にも負担が少なく、生活への影響も最小限にとどめられる内視鏡治療の技術は近年かなり進歩しており、早期であれば胃がんだけでなく、食道がんや咽頭がんも内視鏡で切除することが可能になっています。
しかし食道がん、胃がんなど消化管のがんは、初期段階ではほとんど症状がでることはありません。内視鏡検査は早期がんの診断に有用で、とても大切な検査です。
日本人はまだまだ胃がんの発症率が高いため、初期の段階で見つけることが特に重要になってきます。

40歳を過ぎたら、がんの予防・早期発見のために定期的に検査を受けることをお勧めします。是非一度、ご相談にいらしてください。

胃カメラ(上部内視鏡)でわかる病気

下咽頭がん、逆流性食道炎、好酸球性食道炎、食道がん、バレット食道、急性胃炎、慢性胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、胃がん、悪性リンパ腫、胃粘膜下腫瘍、ヘリコバクター・ピロリ感染、胃アニサキス症、十二指腸炎、十二指腸潰瘍、十二指腸ポリープ、十二指腸乳頭部腫瘍など。

当院の特徴

日本消化器内視鏡学会専門医・指導医による高精度な内視鏡検査

当院での内視鏡検査は、がん専門病院、ハイボリュームセンターに勤務している、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の資格を有する医師が担当しており、安全で高精度な検査をお受け頂けます。

また、院長はこれまで、がん研究会有明病院等で、膨大な数の消化器の早期がん・進行がんを取り扱い、先端的な診療・臨床研究をし、学会発表・論文発表をしてきました。早期胃癌の前癌病変に対する臨床研究報告の論文発表は、日本消化器内視鏡学会 学会賞を受賞し評価されています。

食道がんや胃がんなどの早期がんは、定期的な内視鏡検査(胃カメラ)を行っていれば早期に発見でき、外科手術をすることなく内視鏡での治療が可能です。 当院では、がん専門病院などで長年にわたり診療・研究してきた経歴のなかで、前癌病変・微小がん・早期がんについての知見を得た内視鏡医師が診療しており、内視鏡検査の精度については安心してお受け頂けます。

食道、胃 早期癌(微小癌)症例

最初に、早期の消化器癌がどのようなものなのかをお示しします。

1、胃の体中部小弯という場所にできた分化型早期胃がんの症例です。

胃の体中部小弯という場所にできた分化型早期胃がんの症例写真1

この写真で病変がわかりますか?

胃の体中部小弯という場所にできた分化型早期胃がんの症例写真2

少し近寄った写真です。矢印の先にがんがあります。

胃の体中部小弯という場所にできた分化型早期胃がんの症例写真3

さらに近寄り、インジゴカルミンという青い色素液を散布した写真です。 黄色円の中心、いびつに陥凹した部位が病変です。 病変の左にあるのは鉗子というもので、細胞の検査をするために病変の一部を採取するための道具です。
鉗子を広げるとほぼ5mmですので、5mmの陥凹型早期がんであることが分かります。

2、胃の体下部大弯という場所にある未分化早期胃がんの症例です

胃の体下部大弯という場所にある未分化早期胃がんの症例写真1

この写真で病変がわかりますか?

胃の体下部大弯という場所にある未分化早期胃がんの症例写真2

少し近寄った写真です。
黄色円の中、白っぽい部分ががんです。

胃の体下部大弯という場所にある未分化早期胃がんの症例写真3

先ほどと同じく、インジゴカルミンという青い色素液を散布した写真です。
黄色円の中に病変がありますが、先ほどの症例に比べて凹凸が少ないことが分かります。

3、早期食道がん(扁平上皮がん)の症例です。

早期食道がん(扁平上皮がん)症例写真1

この写真で病変がわかりますか?

早期食道がん(扁平上皮がん)症例写真2

矢印の先に病変があります

早期食道がん(扁平上皮がん)症例写真3

同じ部位をNBIという方法で観察した写真です。

早期食道がん(扁平上皮がん)症例写真4

同じ部位にルゴール液を散布して観察した写真です。

早期がんは通常観察では発見しにくいことがありますが、最新の内視鏡システムにあるNBIという方法での観察や、ルゴール液を散布することで発見が容易となります。
食道の扁平上皮癌は多くはアルコールを飲むと赤くなる体質の人や喫煙者に発症するため、リスクの高い患者さんではこれらの方法を駆使して注意深く検査することが大切です。

(症例画像:がん研有明病院消化器内科、平澤俊明先生提供)

このようにごく早期の癌は、わずかな粘膜面の乱れや、色調の違いしかなく、また自覚症状もほとんどありません。このような状態で癌を発見するために内視鏡検査は最適な方法です。
(健診などで行われるバリウム検査では、色調の違いは認識できませんし、早期の食道の病気をみつけるのも極めて困難です)

このような早期癌を見つけるための内視鏡検査

胃の粘膜は、なにも処置をしなければ粘液などが付着し、表面構造が十分に観察出来ないことが多いので、粘膜面をよく洗浄し、観察に適した状態にすることが大変重要です。この粘膜面の洗浄に、大きめの注射器に水を入れて、手動で水を吹き付けて行う施設も多いようですが、粘液がべっとりと張り付いている症例では十分に洗いきれないこともあるようです。 当院では専用の送水装置を導入し、よりしっかりとした粘膜洗浄を行うよう心がけています。

オリンパス社製 OFP-2

水流量の調整も可能

実際の症例をみてみます。

すべて同じ方の写真になります。左は胃に入ってすぐの写真、中央は二酸化炭素を送気して少し胃を膨らませた写真、右は粘膜面を十分に洗浄した後の写真です。
このような白色粘液はピロリ菌に感染した胃でよくみられるものですが、ピロリ感染の胃こそが胃がんの発生母地ですし、早期の微小な胃がんも見落とさないようにするためにはいかに洗浄が重要かご理解頂けると思います。

別の症例を見てみます。

こちらもすべて同じ方の写真になります。左は胃に入ってすぐの写真、中央は二酸化炭素を送気して少し胃を膨らませた写真、右は粘膜面を洗浄した後の写真です。
このように粘液が強固かつ多量に付着している場合は洗浄しきれないこともありますが、除菌を行うことで胃の状態が改善し、この粘液はみられなくなります。

オリンパス社の最新鋭の内視鏡システム「EVIS X1」を導入

当院では、最新鋭のの内視鏡システム『EVIS X1』を導入しております。オリンパス社の世界的に高い評価を受けてきた最新技術が組み込まれており、医師の高度な技術力と豊富な経験を活かして検査を行うことが可能です。特殊光による観察や画像処理によって、毛細血管分布や炎症の評価が正確に行うことができ、微細な病変も発見しやすくなりました。これにより、患者様の負担を軽減しつつ、短時間で精密な検査を行うことが可能となっています。EVIS X1の特徴は下記の通りです。

 TXI(構造色彩強調機能)

微細な病変を見逃さないように、表面の凹凸や構造、色調、明るさなどの微妙な変化も強調して映し出す画像技術です。通常の光では見えにくい部分における病変も、この技術を用いることで容易に発見できます。

NBI(画像強調観察機能)

粘膜表層の微細な構造や毛細血管を強調して表示し、観察することができるオリンパス社の内視鏡システム独自の技術です。特定の波長の光を用いて、ヘモグロビンに吸収されやすい光を照射することで、血管や周辺の粘膜を鮮明に強調して表示します。

RDI(赤色光観察)

RDIは、赤(Red)、黄色(Amber)、緑(Green)の狭い帯域光を活用し、深部血管をより鮮明に表示する画像強調技術です。これにより、内視鏡治療において出血の防止や出血部位の特定、止血処置がより効率的に行えるようになりました。

EDOF(被写界深度拡大技術)

EDOFは、近点と遠点それぞれにピントを合わせた2つの画像を組み合わせることで、ピントが広がった内視鏡画像を生成する技術です。これにより、腸内の蠕動運動や心拍などの動きがある部位も、鮮明な画像で観察することが可能です。

二酸化炭素送気の使用

胃がしぼんだ状態では、粘膜をこまかく観察することができないので、内視鏡検査中では二酸化炭素を送り込んで消化管を膨らました状態で観察しています。通常は空気を送り込んで腸を膨らませていますが、不快な腹部膨満感が起こり、それが検査後もなかなかおさまりませんでした。当院では空気ではなく、吸収の早い二酸化炭素を使うことでおなかの張りを大幅に抑えています。二酸化炭素は吸収されやすいだけでなく呼気で自然に排出されるため、お体への負担も少なくなっています。ほとんどの場合、検査終了時にはほぼおなかの張りがなくなっており、腹部膨満感が残ることはありません。
当院では胃カメラ・大腸カメラ検査のすべての症例に二酸化炭素を使用した検査を行っています。

内視鏡検査後に撮影した腹部レントゲン写真A

内視鏡検査後に撮影した腹部レントゲン写真B

内視鏡検査後に撮影した腹部レントゲン写真です。黒っぽく見える部分が腸管内にたまったガス像です。左Aの写真が二酸化炭素を使用した検査後、右Bの写真は通常の空気を使用した検査後です。残存ガスが明らかに少ないことがご理解いただけると思います。

軽い静脈麻酔の併用

軽く居眠りをしているような状態で胃カメラ検査を行い、苦痛を感じないようにする方法で、静脈に鎮静剤や鎮痛剤を適量注射する意識下鎮静法(セデーション)です。
とても楽に検査を受けられるため、当院では、ご希望される方にこの方法を用いた胃内視鏡検査を行っています。ただし、重篤な疾患がある場合や、ご高齢の方にはできない場合もあります。
意識下鎮静法での検査終了後は、可動式の検査ベッドに横たわった状態でリカバリー室に移動します。リカバリー室で目を覚ますまでの時間は30分から2時間程度と個人差があるため、しっかり目が覚めるまでリカバリー室でゆっくりお休みいただいています。
なお、検査後、当日の自動車や自転車の運転は禁止ですので、ご来院には公共交通機関のご利用をお願いしています。

上部・下部内視鏡検査の連続実施可能

当院では、上部内視鏡(胃カメラ)検査と下部内視鏡(大腸カメラ)を同日に受けられます。この場合、先に胃カメラ検査を受けていただき、その後連続して大腸内視鏡となります。別日に改めて検査を受ける必要がないためスケジュールを立てやすく、さらに薬剤費や再診費なども1回分で済み、医療費負担を圧縮できます。

大腸カメラはこちら

経口内視鏡と経鼻内視鏡について

経口内視鏡と経鼻内視鏡について

極細径スコープ経口内視鏡と経鼻内視鏡の直径差はわずか3mmほどですが、この3mmには意外に大きな違いがあります。経口内視鏡と経鼻内視鏡には一長一短があるので、当院ではどちらの内視鏡も常備しており、相談の上より適していると思われる方法で検査を行うようにしています。
(若年者でピロリ感染がない方では経鼻内視鏡、がん年齢でピロリ感染が疑われるような方、検診で異常が指摘されている方の精密検査は経口内視鏡など)

  経口内視鏡 経鼻内視鏡
使用 オリンパス社製GF-H290、径8.9mm オリンパス社製GF-1200N、径5.8mm
長所 画質が良く(ハイビジョン相当)、粘膜面の詳細な観察がしやすい。炎症が強く粘液の付着が多い胃でも、粘膜面の洗浄がしやすい。 経口内視鏡に比べ嘔吐反射が少なく、不快感が少ない。会話が出来る。
短所 嘔吐反射(オエッとなる)がでやすい。 最新型細径内視鏡で以前の細径内視鏡に比べ画質は飛躍的に向上しましたが、細い分送気、送水に時間がかかり検査時間が長めになったり、あるいは粘膜面を十分に洗浄しきれず観察が不十分になることがある。

胃カメラの流れ

1検査前

午前の検査の場合、前日の夕食は、消化の良いものを夜9時までにとります。
お茶やお水などの透明な飲料水は、検査直前まで好きなだけ摂取して頂いて構いません。

2検査当日

午前の検査の方は朝食をとらずにご来院ください。午後の検査の方は、別途食事の取り方をご説明いたします。お薬を飲んでいる方は、事前の指示に従って必要があるものだけ服用してください。

3検査

検査用ベッドに横たわり、左向きになります。
精度の高い診断を行うために、色素の使用や組織採取が行われる場合があります。
検査時間の所要時間は5~10分程度です。
なお、鎮静剤を使用した検査では、検査終了後、検査用ベッドのままリカバリー室に移動し、30~90分程度ゆっくりお休みいただき、鎮静剤の効果がなくなったら、全身の状態を確認してから、検査内容をご説明しています。

検査費用

  1割負担 2割負担 3割負担
内視鏡検査のみ ¥ 2,000前後 ¥ 3,750前後 ¥ 5,500前後
内視鏡検査+病理組織検査 ¥ 3,000前後 ¥ 6,000前後 ¥ 9,000前後

使用する薬剤の種類や点滴の有無によってお値段が前後することがあります。
内視鏡検査前の診察代や事前血液検査代は含まれておりません。
※病理組織検査は胃の組織を一部採取して、炎症の程度やがん細胞が含まれていないかどうかなどを顕微鏡で詳細に調べます